海と空と大地を感じ 自然とともに生きていく

水蒸気から雲が生まれるときも温室効果を促している

  • 永井

    水は液体ですが、気体のときは水蒸気、固体では氷と名前を変えます。氷を暖かい部屋に置けば溶けて水になり、やかんで沸騰させると水蒸気になります(水蒸気は湯気になる直前の状態)。ところが、森さんのご著書にも書かれているように、水蒸気が一気に氷に変化することもあると知り驚きました。水の状態を経ずに氷ができるというのは理解し難い現象なのですが。

  • 雲がそうです。海面から蒸発した水蒸気が気流で上空に持ち上げられていくと、水や氷の粒になって雲ができます。100メートル上がると1℃ほど温度が下がります。その粒同士がくっついて大きく、重くなり、落ちてくるのが雨や雪です。また、水蒸気が水や氷に変化するとき、気体や液体より固体の状態の方がエネルギーが少ないため、そのエネルギーの差分を熱として放出することでまわりの空気が温められます。雲ができるときも、まわりの空気が温められています。ですから、二酸化炭素だけではなく、雲の発生も地球温暖化に影響を与えていると言えるのです。

  • 永井

    雲の発生は、人間にはどうしようもないことですね。お客さまから、長く入れていた製氷機の氷が小さくなったという話をお聞きすることがありますが、この場合は氷が逆に水蒸気となっていた、ということですね。

  • 自然現象や天気は、人間にはどうにもできないことばかりです。抗おうとするのではなく、自然の振る舞いに身を任せ、受け入れるという姿勢も必要かもしれません。台風や異常気象が予測されたときは無理に会社へ行くのではなく、リモートで仕事をするとか、安全対策を講じることも大事です。最近は鉄道会社が計画運休をするなど、事前に対処するようになってきてはいますが、気象に合わせた生活や仕事の仕方を行うという意味でいい傾向だと思います。

  • 永井

    受け入れるのは簡単ではないかもしれませんが、自然に対する謙虚さやしなやかな対応力は必要だと思います。地球の水の大循環のなかで、私たちは水を使わせていただいているという謙虚な姿勢が大事だと、異常気象が増えている今、以前よりも強く思うようになりました。

次世代を担う若者たちに選ばれる企業になれるよう、
これからも励んでいきます。――永井

  • 先日、中学生や高校生と話す機会がありました。彼らはまだ十数年しか生きていないのに、「昔と比べて気候が変わってきている」と言うのです。「そんなに気候の変化を体験していないでしょう?」と問うと、「子どもの頃は浜辺がここまであったのに、今はありません」と。環境問題に対してすごく敏感で、身近な海をしっかりと見ているのです。

  • 永井

    私も3人の子どもがおりますが、環境意識の高さには驚かされます。

  • これからの時代、車はガソリン車から電気自動車にシフトしますが、燃料電池車という水素をエネルギーにして走る自動車も普及するでしょう。ところがある高校生は、「水素は環境にいいといわれていますが、排気ガスの代わりに水蒸気を出します。それが雲になれば温室効果を助長するので、必ずしも環境にいいとは言えないのではないですか?」と質問されました。いやー、「そうですね」としか答えられませんでした。

  • 永井

    鋭いですね。私たち企業も環境問題により正しく向き合いながら、地球環境に負のインパクトを与えない形で、またはそれを最小限にするビジネスを展開していくことが大事だとあらためて思います。

  • 高校生はさらに、「企業は環境問題を商業利用しているように思う」と言うので、「確かにそうですが、その動きに乗ることは生活者として必要なことだと思います。環境にいいものかどうかを自分で考え、企業の商品やサービスを選択することで社会を変えることはできるのですから」と話しました。飲料水にしても、水道水なのか、ペットボトルなのか、浄水器の水なのか。企業は生活者が選びたくなるものやサービスをつくり販売することを、一生活者として私も願っています。

  • 永井

    ありがとうございます。海水が蒸発して雲となり、山にぶつかって雨が降り、川となって海へ戻り、また蒸発して雲となり、という大きな循環や気象の変化のなかで水を使わせていただくことで、私たちは生命を育み、暮らしを営むことができています。そのなかで、環境に配慮した浄水器を作り、安全でおいしい水を多くの方々にご提供できるよう、そして、次世代を担う若者たちに選ばれる企業になれるよう、これからも励んでいきます。

リビエラ逗子マリーナには、プレジャーボートやヨットが停泊するハーバー、ホテル、レストラン、イベント会場など多数の施設があり、約900本のヤシはリゾート感をよりいっそう高めている。

リビエラ逗子マリーナでは長年にわたりメイスイの浄水器を使用していただいており、その水でコーヒーを入れてくださった。

森 朗 MORI Akira

もり・あきら●気象予報士。1959年東京都生まれ、兵庫県西宮市育ち。大学卒業後は日鉄建材工業(現:日鉄住金建材)に入社し、経理・総務・営業職に従事。趣味のウインドサーフィンや海好きが高じて95年に気象予報士資格を取得し、ウェザーマップに入社。TOKYO MX気象キャスターを経て、TBS「ひるおび!」などテレビ・ラジオ番組に多数出演するほか、全国で講演活動も行っている。2017年7月よりウェザーマップ代表取締役社長。著書に『異常気象はなぜ増えたのか―ゼロからわかる天気のしくみ』(祥伝社)など。

写真●田中雅也 文●松井健太郎 撮影場所●リビエラ逗子マリーナ

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