過去を受け継ぎ、未来へ向かう

店舗編 2

voco大阪セントラル

インテリアとして古木の木組みを活用。古いものと新しいものを融合させたユニークなデザインに目が留まる。

人を呼び集めるサステナブルなホテル

IHGホテルグループが展開する、世界的に注目を集めているプレミアムホテルブランド「voco」が日本に初進出し、2023年5月に大阪・京町堀にオープンした。
voco(ヴォコ)にはラテン語で「人を呼び集める」という意味があり、館内の空間づくりには、温もりや親しみを感じさせる工夫が随所に見られる。その象徴が1階のソーシャルスペース(ロビー、レストラン、カフェ&バー)にレイアウトされた、見上げんばかりの木組みだ。古民家で使われていた立派な梁や柱など52本の古材を、日本の伝統的な建築技法を用いながらインテリアとして再構成している。斬新でありながら心がやすらぐ空間づくりは、日本人は言うまでもなく海外からのゲストにも喜ばれている。
また、ホテル竣工前にこの地にあった、大正時代に建てられた旧京町ビルの外壁の装飾レリーフや鉄製扉、バルブを館内に展示することで、京町堀という地域に対する敬意を表現している。
過去を受け継ぎ、未来へ向かう――そんなサステナブルな姿勢は、客室でも感じ取れる。たとえば、カードキーと櫛(くし)や歯ブラシは竹で作られている。竹は日本文化を象徴する植物で、長きにわたって実用品や工芸品の素材として用いられてきた。一方、農村では放置された竹林が田畑に侵入する竹害も問題になっている。そこでvocoでは、伐採して利用することが環境保全につながると考え、竹素材の製品を積極的に採用しているのだ。

旧京町ビルをモチーフにした写真作品や、同ビルで使われていた壁面レリーフ、バルブ、鉄製扉、私設郵便箱が館内に展示されている。まるで美術館のようだ。

最も多いタイプの客室、プレミアムツイン。ベッドにも再生素材を使い、連泊中のリネン交換は、洗濯時に使用する洗剤や水、エネルギー消費による環境負荷を考え、ご希望がある場合にのみ行っている。

カードキーと、アメニティの櫛と歯ブラシは竹製。竹の櫛は海外からのゲストにも好評で、滞在の思い出に持ち帰る宿泊客も多いとか。

おいしい水を汲んで 大阪観光に出かけよう

そしてもう一つ、「voco大阪セントラル」のサステナブルな取り組みとして挙げられるのが、水だ。
「3階から13階の客室フロアにメイスイの冷水機『クリスタルクール』を設置し、ゲストの皆さまにおいしくて安全な水をご提供しています」と、総支配人の宍倉大地(ししくらだいち)さんは話す。クリスタルクールは、使う分だけをそのつど浄水・冷却する。客室に用意されているウォータージャグを使って水を汲み、部屋でくつろぎながら飲むというスタイルだ。「最近はマイボトルを持参されているゲストも多いので、そちらに水を入れて外出の際に携行しておられます。日本人ゲストはもちろん、水道水を飲む習慣がない海外からのゲストにも、フロア内に気軽に水を汲める設備があることを喜んでいただいています」。
もちろんレストランの厨房にも浄水器を設置し、おいしくて安全な水を使った料理を提供している。水にこだわり、環境に配慮することで、ゲストの旅はいっそう心地よく楽しくなるに違いない。

右は部屋に備え付けのウォータージャグ、左はリターナブル瓶に入ったミネラルウォーター。ペットボトルは使わない。
各フロアに1台設置されている浄水器付き冷水機、クリスタルクール。部屋に備えてあるウォータージャグでおいしい水を手軽に利用できる。
宿泊者限定のフィットネスルームにも浄水器付き冷水機を設置。体を動かした後においしい水をチャージできる。

voco大阪セントラル 総支配人 宍倉大地さん

「スタッフの休憩室にも浄水器を設置してあり、おいしいと好評です」と話す。

大阪メトロ肥後橋、淀屋橋、本町の各駅から3~5分。客室数は191。

voco大阪セントラル
住所:大阪府大阪市西区京町堀1-7-1
TEL:06-6445-1100

写真●吉田亮人 文●松井健太郎

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