SDGsに真摯に向き合う大学に生まれた新たな“オアシス”

学校編

獨協大学

学生センター・カフェラウンジに設置された浄水器付き冷水機。多くの学生がマイボトルを持参し、ランチタイムには行列ができるほどだ。

地球的視野を持った人材を育てる

埼玉県草加市にキャンパスを構える獨協大学は、1964年の大学創立から今年60周年を迎える。その源流は、1883年に啓蒙思想家の西周(にし あまね)らによってドイツの文化と学問を学ぶ目的で設立された獨逸(どいつ)学協会学校にある。現在に至るまで外国語教育や国際交流に力を入れてきた獨協大学には「地球的視野を持った人材を育てる伝統があります」と副学長の岡垣知子さんは話す。
国際的な課題である環境問題にも早くから取り組み、2008年には獨協大学環境宣言を採択。環境教育や設備の省エネルギー化、キャンパスの緑化などを進めてきた。21年には「埼玉県SDGsパートナー」に県内の大学で初めて登録し、教職員からなる「SDGs推進連絡会」を発足させている。岡垣さんは、学生と接するなかで環境問題への関心の高さを実感するという。
「本学の理念に共感して入学するのか、SDGsに興味を持っている学生が多いですね。レポートや論文のテーマでも環境問題を取り上げる学生が増えていると肌で感じます。将来の行く末についての危機意識が高いのだと思います」

給水機の設置でプラスチック削減を実現

給水機の設置も、学生からの提案によるものだった。
「キャンパス内の施設や設備について定期的に学生にアンケートを取っていますが、給水機の設置は以前から要望がありました。ただ、メンテナンスや衛生面の懸念があって、実現できていませんでした」と総合企画課の堀 佑二さんは語る。
そこで、経済学部・高安健一教授のゼミ生5人によるプロジェクトチーム「Oasis Dokkyo」が、給水機の設置を大学に要望。給水機を使えばペットボトルを購入する量が減りプラスチックごみ削減につながること、学生にとっては自動販売機での購入費用の節約が給水機利用の動機づけになること、SDGs推進に向けての啓発効果があることなどのメリットを訴えた。ステンレスボトルを500回以上繰り返し使えば、ペットボトルを買い続けるよりも環境負荷が小さくなるとのデータも提示した。
これを受け「SDGs推進連絡会」が導入を検討し、22年8月に浄水器付き冷水機(以下、冷水機)2台の設置を決めた。設置後は、ゼミ生が作成したポスターやリーフレットによる告知をはじめ、マイボトルの販売、父母の会が企画したボトルの配付など、学生と教職員が一丸となり冷水機の利用をPRした。その結果、冷水機の前には学生や教職員らの行列ができるほどの人気となり、現在では6台にまで増設された。
「何より、お水がおいしいのが大きいです。私も毎日飲んでいます」と、岡垣さんも満足している。

各冷水機に流量計を取り付けて、導入以降の使用量を把握している。

学内の売店で「SDGs貢献グッズ」としてステンレスボトルを販売。また「獨協大学父母の会」の支援により、繰り返し使えるウォーターボトルを学生に無料で配った。

初代学長の名を冠した「天野貞祐(あまのていゆう)記念館」。太陽光発電システムや外気を利用した自然換気システムなどを採用し、設備の省エネルギー化を図っている。
多くの学生や教職員が行き来する中央棟にも冷水機を設置。当初は1台だったものの、長蛇の列ができたため2台目も導入された。

また、プラスチック削減効果を明らかにするために、流量計も取り付けた。最初の1年間で計5万3121リットルが利用され、これをペットボトルに換算すると3187キログラムものプラスチック使用が削減された結果になった。
思わぬ副産物もあった。冷水機の前に人が集まることで学生と教職員の間に会話の機会が増え、おいしい水をきっかけに、“オアシス”のような空間が生まれたのだ。SDGs達成を推進するキャンパスで、冷水機が多くの役割を果たしている。

2023年4月にオープンした多目的施設「獨協大学コミュニティスクエア」。太陽光発電、自然換気、昼光利用などの省エネ技術を採用したゼロエミッション建造物だ。

「あんしんトイレ」は人権やダイバーシティにも配慮し、誰もが安心して使えるもの。

獨協大学コミュニティスクエアは給水機の設置を前提に設計された。キッチンと廊下の2か所にメイスイの冷水機が置かれている。

獨協大学副学長 岡垣知子さん

同大学のSDGs推進連絡会部会長も務める。「大学でCO2削減の目標を設定しています。学生も教員も協力して取り組み、順調に目標を達成できています」。
*役職は2023年度当時

獨協大学総合企画課 主任 堀 佑二さん

「メイスイの冷水機を選んだのは、日々のメンテナンスまでお任せできること、非接触型で感染リスクが低いことが決め手でした」

獨協大学

写真●小野口 健太 文●光石達哉

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