めいすいの里山便り
里山よ よみがえれ!!
土手の斜面からフキノトウが顔を出しました。遠くでは、ケロケロケロとアマガエルの声が響いています。今年もいよいよ生き物たちの活動がはじまりました。私たちは、荒れていた谷津田(やつだ)に生き物をとり戻そうと里山再生活動を行ってきました。谷津田とは、田んぼと雑木林が隣接する浅い谷間で、環境に変化があることから生き物の種類が多く、近年では自然環境保全の観点からも重要視されている場所です。そんな自然と人とが共存する里山を呼び戻し、喜びを分かち合うことが「めいすいの里山」の目的です。
今まで杉林や竹林を伐採して広葉樹を植えたり、放置された田んぼに湿地をつくったりするなど、里山再生のためにいろいろな活動をしてきました。
里山の管理の基本は、草刈りや枝打ち。こう言うとつらい仕事のように思えますが、実際やってみると、汗を流しながらも四季の変化を体感することができますし、思ってもみなかった生き物に出合えたりして感動することもしばしばです。これらは全部里山からのプレゼント――そう考えると自然の中で体を動かすのが楽しくなってきます。
植樹したクヌギやコナラなどの広葉樹は、順調に生長しています。昨年よりもさらに枝葉が多くなりました。雑木林再生は次の段階に入り、最初に一斉伐採をするときに切らずに残しておいた、アラカシやシラカシの大木を切ることにしました。密度の高いブッシュの中で生きながらえていた木は、光を求めて上へと生長するので幹がひょろ長くなります。こんな状態で周りの木々を急に伐採してしまうと、モヤシのような姿が残ります。これは熱帯雨林の伐採地でよく見かける痛々しい光景です。ひ弱な姿をリセットするために、思い切って幹の低い位置から切ります。切った株からは翌春に萌芽し、太陽がいっぱい当たる環境でのびのびと枝葉を伸ばします。この仕事はけっこうな重労働ですが、何年かは続きそうです。
一方、湿地のほうは草刈り管理がリズムに乗っていて、ここ2~3年安定しています。シマゲンゴロウやハイイロゲンゴロウなどの水生甲虫、ミズカマキリやタイコウチの仲間など、水辺に集う生き物の顔ぶれが豊かさを増しています。
30年以上前の圃場(ほじょう)整備がなされていなかった頃の美しいため池が戻ってきたようで、たいへんうれしいです。
はたして今年の「めいすいの里山」は、どんな表情を見せてくれるでしょう。
今森光彦 IMAMORI Mitsuhiko
いまもり・みつひこ●写真家、切り絵作家。1954年滋賀県生まれ。大学卒業後、写真技術を独学し、80年からフリーランスに。以後、琵琶湖をとりまくすべての自然と人との関わりをテーマに撮影を行う。さらに、ハサミで自然の造形を鮮やかに切り取る「切り絵作家」としても知られる。2007年「第56回小学館児童出版文化賞」、09年「第28回土門拳賞」、10年「エクソンモービル児童文化賞」などを受賞。著書多数。
寄稿●今森光彦 写真●今森元希
一般社団法人「めいすいの里山」
お世話がかりを募集中!
「めいすいの里山」では、みなさまのご協力のもと「めいすいの里山再生プロジェクト」を進めています。木や草の香りの中で、ご一緒に伐採や植林、剪定、草刈りなどをしてくださる方を募っています。ご家族やご友人と一緒に、年を追うごとに美しくなる里山の四季を楽しんでください。
青空の下でカレーランチ
秋の草刈り
ミツマタの苗木を植える
小さな子たちも一緒にお手伝い
2024年4月~2025年3月
「めいすいの里山」の活動予定日
2024年 4月14日(日)
5月12日(日)
6月9日(日)
9月8日(日)
10月6日(日)
11月10日(日)
12月8日(日)
2025年 3月9日(日)
再生事業にご賛同いただける会員を募集しています
個人会員(年会費/口) 3,000円
法人会員(年会費/口) 30,000円