めいすいの里山便り

四季折々の命

「めいすいの里山」は、里山再生の試みを始めてからたくさんの植物、動物、昆虫の命が育まれる場所となりました。2023年の里山の様子を今森光彦さんにリポートしていただきました。

上空をチョウゲンボウが飛んでゆく。

めいすいの里山で初めて見つかったアケボノソウ。

めいすいの里山の春は、みんなが楽しみにしている季節です。太陽の光が暖かくなるのを待っていた生き物たちがいっせいに動き始めます。幼虫で越冬していたベニシジミは、いち早く蛹さなぎになり蝶に変身しました。紅色の姿がとても愛らしい蝶です。
また、花も咲きだします。スミレの仲間やミツバツツジなどは、その代表でしょう。春の花は清楚なものが多いので出合うとほのぼのとします。雑木林の下枝の整理など仕事はたくさんありますが、春はやっぱり生命の息遣いを感じたいものです。

ミツバツツジ
ベニシジミ

夏は、生き物に出合うチャンスが増えます。湿地では、タイコウチやミズカマキリなどの水生昆虫が卵を産むために浅瀬に集まってくるので、じっくりと眺めると発見があります。
初夏の頃に木の上で産卵していたモリアオガエルは、夏が盛りになると湿地の水草の隙間に休んでいることが多く簡単に観察できます。この時季を逃すと見ることができません。
また、この季節は草の生長が早いので、草刈りが必要です。草刈りは汗だくになる仕事ですが、植物たちをじっくりと見るチャンスでもあります。

草刈り
モリアオガエル

秋は実りの季節。めいすいの里山では雑木林が育ってきたので、実のなる木々も増えました。ヤブムラサキやコバノガマズミなどカラフルな木の実に出合えます。
ススキも穂をつけますが、若い穂と花が咲いている穂では姿が違うことを知らない人が多いのではないでしょうか。ススキには荒れ地のイメージがありますが、これを食べる蝶がいるので、めいすいの里山では、根を取り除くのではなく来年も生えるように地上だけを刈り込みます。

ススキの穂
コバノガマズミ

木々が落葉し、照葉樹だけが青々と茂っています。下草はセピア色で、植物や昆虫たちも越冬中です。
冬は、里山整備にもってこいの季節。体を動かしやすいので作業がはかどります。太い木の伐採などもこのときで、みんなで力を合わせて仕事をしている実感があります。
静的な風景のなかでは、想像力が働きます。この木からはどんな葉が広がるだろうか、この土手からはフキノトウが顔を出すだろうか――春を待つ気持ちが募ります。

里山整備
萌芽をさせるため伐採したアラカシを運ぶ。
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